健康堂の症例NO440:鍼灸で最初改善されましたが、突然めまいが現れ、悪化しました…
50代 女性 2024年11月18日は右耳の聞こえが急に悪くなり、翌日に病院で突発性難聴と診断された、ステロイド剤を1週間投与しましたが効果が見られませんでした。
初診時: 11月23日に当院に来院した際、大きめの声であれば会話が可能でしたが、周囲の声や音が大きくなると聞こえが一気に悪化する状態でした。聴力検査の結果から低音型突発性難聴と想定し、鍼灸治療を開始しました。
治療開始から約1カ月間は順調に改善が見られ、患者本人も聞こえの改善を実感していました。しかし、年末年始にめまいが現れ、低音だけでなく中音・高音も悪化する事態となりました。2025年2月25日の検査では聴力が最も悪化した状態が確認されました。
低音型の突発性難聴からメニエール病症状を伴う難聴が疑われました、治療効果を高めるため、従来の鍼灸治療から特殊電気鍼治療に切り替えました。この治療法は、微弱な電気刺激を加えることで神経や筋肉を活性化し、血流改善や神経修復を促す効果が期待されます。
治療変更後、めまいがひどくなると一時的に聴力が悪化するものの、全体的には波を経ながらも回復が進みました。2025年4月5日時点で聴力は数字的には完全回復には至っていませんが、患者本人が日常生活に支障を感じなくなったため、治療を一旦中止しました。
考察:突発性難聴は発症から早期に治療を開始することが重要とされています。本症例では、発症から5日目に鍼灸治療を開始したものの、ステロイド治療が効果を示さなかった。鍼灸治療は、内耳の血流改善や自律神経の調整に効果があるとされており、初期の低音型突発性難聴の改善に寄与したと考えられます。具体的には、耳周辺のツボ、内耳への酸素供給を増やし、聴覚神経の機能回復を促した可能性があります。しかし、年末年始の悪化は、ストレスや疲労が誘因となり、自律神経の乱れがめまいと聴力に影響した可能性が考えられます。突発性難聴において、ストレスは症状悪化の要因となることが知られており、年末年始の生活リズムの変化が影響したと推測されます。
鑑別は難しいですが、反復性があるめまいから軽度のメニエール症状と判断しました、特殊電気鍼治療への変更は、神経刺激を強化し、血流改善と神経修復を促した可能性があります。電気鍼は、微弱な電流を用いて神経を直接刺激することで、通常の鍼治療よりも強い効果が期待できるとされています。本症例では、めまいの頻度が減少するにつれて聴力も徐々に回復し、患者のQOL向上が確認されました。最終的に完全回復には至らなかったものの、日常生活に支障がないレベルまで改善したのは、治療の成果と言えます。
難聴は個人差が大きく、発症原因もウイルス感染、血流障害、ストレスなど多岐にわたります。本症例のように、ステロイド治療が効果を示さない場合、鍼灸や電気鍼治療が代替的な選択肢として有効な場合があります。特に、発症早期に鍼灸治療を開始することで、回復の可能性が高まるとされています。本症例を通じて、鍼灸と電気治療の併用がメニエール病症状伴う難聴の治療において一定の効果を持つ可能性が示唆されたと言えます。


