Infertility Acupuncture 不妊鍼灸
不妊症の原因(女性)
不妊症の原因としては、女性側の原因・男性側の原因・男女共通の原因があり、それぞれにいくつかの原因が考えられます。
●不妊症の原因(男女共通) ●不妊症の原因(男性)
●排卵障害 ●子宮着床障害 ●卵管障害
不妊症の原因① 排卵障害
妊娠するには排卵することが前提となりますが、自力で排卵を起こすのが難しい場合を「排卵障害」と位置づけます。
この「排卵障害」には、いくつかの原因が考えられますが、代表的なものをご紹介しましょう。
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卵巣機能の低下による排卵障害
卵巣の機能が低下すると、無月経や無排卵月経というような症状が起こり、自力で排卵しない、生理が起こらないということがしばしば見られます。
通常は更年期に見られるものですが、近頃では若年性の卵巣機能低下症も見られます。
若年性の場合の原因は、ほとんどが不明ですが、最近の生活習慣から低体温や冷え、運動不足などによって卵巣に十分な血液が運ばれないため卵巣の働きが不十分になると考える説もあります。
また、無理なダイエットや喫煙、ストレスにより、卵巣に指令を与える脳からの伝達に問題がある場合もあります。 -
卵巣機能の低下による排卵障害
プロラクチンとは、脳下垂体から分泌されるホルモンで授乳をつかさどり、このプロラクチンの分泌が高いうちは排卵が抑制されます。
授乳期はまだ子供が小さいので、次の子供を妊娠しにくいように排卵を抑制するという、自然に備わった不妊期なのです。
しかし、このプロラクチン値が授乳期以外に高いと、無排卵や生理不順、流産の原因になることがあります。
西洋医学ではこのプロラクチンを抑える薬もありますが、めまいや頭痛などの副作用を伴います。
東洋医学的には、強いストレス、イライラ、不安、心配、不眠などの情緒不安定、身体の冷えや血行不良、ホルモンのアンバランスなどが原因と考えられています。 -
多嚢包性卵巣による排卵障害
卵巣を覆う皮膜が厚くて硬いため、卵子が排卵しづらくなり、卵巣に卵胞がたくさんできてしまう状態を多嚢胞性卵巣といいます。 多嚢胞性卵巣を持っている女性は2割いるといわれていますが、その中で「多嚢包性卵巣症候群」と診断されるのは下記の場合です。
1.稀発排卵(年に何回かしか排卵がない)あるいは無排卵
2.検査で高アンドロゲン(男性ホルモンが多い)が見られる
3.多嚢胞性卵巣が見られる
現在のところ根本的治療は確立されていないというものの、漢法医学では血行を改善する処方によって成果を挙げています。
不妊症の原因② 子宮着床障害
排卵と夫婦生活のタイミングがぴったり合った場合、受胎率はかなり高いのですが、着床の段階で確率が25%程度に下がり、結果的には人間の妊娠率は他の動物に比べかなり低いものとなります。
このことから、人間はもともと「着床率が低い」ものといえます。
ですから、夫婦生活の後、比較的早いタイミングで妊娠検査薬が陽性を示したとしても、実際には妊娠にいたらないということがよくあります。
これは必ずしも着床障害によるものではなく、人間の着床率が低いためですので、落ち込まないようにしてくださいね。
この「着床」のメカニズムについては、現在の医学でも解明できておらず、神秘的な分野です。
ここでは、そのような中でも着床の確率を下げる要因についてご紹介したいと思います。
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黄体機能不全による着床障害
排卵後の卵巣の中には黄体という組織ができ、黄体ホルモンというホルモンを分泌します。
このホルモンは子宮内膜を厚くして妊娠に備える働きがあり、排卵前に比べて30倍近く分泌されます。
しかし、黄体の機能が不完全ですと黄体ホルモンの分泌も不十分になり、妊娠するために十分な子宮内膜が形成されない場合があります。
そうすると、受精卵が着床しづらくなったり、妊娠しても流産しやすくなったりするケースがでてきます。
黄体の機能が不全になる原因については、はっきりとはわかっていませんが、運動不足や冷えのため卵巣に十分な血液がいかず、黄体の機能が働きづらい場合と、ストレスや自律神経の乱れによって脳から黄体への指令がうまく働かない場合が考えられます。 -
子宮内膜の癒着による着床障害
クラミジアに感染したり、人工中絶・出産時の帝王切開などで処置や術後の過ごし方が不適切な場合、子宮内膜が癒着して着床障害になる場合があります。
また、生理のときに血が逆流して起こる子宮内膜症によって子宮内膜が癒着し、受精卵が着床しづらくなる可能性があります。 -
子宮筋腫による着床障害
子宮の筋層や内部にできる良性の腫瘍を子宮筋腫といいます。
しかし、子宮筋腫があれば必ずしも着床を妨げるというわけではなく、筋腫のある場所や大きさによって左右されます。
たとえば、粘膜下筋腫といわれる子宮の内腔に突き出すようにたもの、大きくて卵管を圧迫しているものなどは、少なからず着床障害の原因になりますが、この場合には、薬物療法や手術などにより着床しやすくなります。
また、漢方医学的には子宮筋腫の原因は冷えともいわれていますので、身体を冷やさないようにして予防しましょう。 -
子宮奇形による着床障害
胎児形成期に子宮がうまく作られなかった場合、子宮の形が変形したり、二つに分かれていたり、逆に片方の卵管としかつながっていなかったりするような場合があります。
その場合は着床しにくくなり、不妊や流産・着床障害の原因になることがありますが、妊娠できないわけではありませんので、専門の医師と良く相談されるのがよいでしょう。 -
子宮内膜ポリープによる着床障害
子宮の粘膜きできたイボのことで、ほとんどは良性の腫瘍です。
大きさとしては、1センチくらいから、大きいものでは10センチを超える場合もあります。
子宮筋腫と同様に、ポリープのある場所や数、大きさによっては、受精卵が着床しづらくなりますが、たいていの場合、比較的簡単な手術で除去することができます。 -
子宮内膜炎による着床障害
大腸菌や淋菌などが子宮に入ると、子宮内膜に炎症が起こる場合があります。
子宮内膜に炎症が起こると、受精卵の着床が妨げらますので、早期に治療することが必要です。
子宮内膜炎の症状としては、おりものに悪臭がある、褐色や色の濃いのおりものが続く、下腹部痛がある、月経痛のような痛みがある、月経血が少ない、排便痛、排尿痛などがある、などがあります。
不妊症の原因③ 卵管障害
排卵前になると精子を迎えやすくするため、卵管の中の粘液が増え、粘性が下がります。
また、卵子は排卵されると卵管に移動して精子と出会い、受精すると卵管を通って子宮に移動します。
このように、卵管は排卵、受胎、着床という妊娠のプロセスにおいてとても大切な器官ですので、腫れや炎症などで癒着したり狭くなったりしてしまうと、卵子と精子が出会いづらくなったり、受精卵が移動しづらくなったりして不妊の原因になります。
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クラミジア感染による卵管障害
クラミジア感染が卵管に進んでしまうと、卵管の上皮細胞が傷つき、受精卵を子宮に運ぶ線毛細胞も傷ついてしまうため、受精卵がうまく子宮に運ばれず、妊娠しづらくなってしまいます。
また、さらにクラミジア感染が進み、卵管の外側にまで炎症が広がってしまうと癒着が起こります。
すると、卵管の運動が妨げられて卵子を運びづらくなり、不妊の原因になります。 -
卵管の癒着による卵管障害
卵管に粘液栓ができたり、性感染症などで卵管の通りが悪くなって起こります。 卵管障害の中では、卵管の癒着によるものが多く見られるようです。
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卵管の閉塞による不妊
卵管が詰まっている状態をいいますが、卵管は2本あるので、どちらか1本が正常であれば自然妊娠できます。
しかし、卵管が2本とも閉塞していると、自然妊娠はかなり難しくなります。
以上のような卵管の状態については、カテーテルを通して水や炭酸ガス、造影剤を送り込み、つまり具合を検査しますが、軽いつまりであればこの検査によってつまりが取り除かれる場合もあるようです。