健康堂の症例NO438:20代 女性 コロナ感染後の異臭症

2025/03/14

20代 女性 コロナ感染後の異臭症

現病歴

患者さんは2024年初頭に新型コロナウイルスに感染し、回復後に嗅覚異常を発症しました。発症から1か月経過しても、すべての匂いが洗剤のような化学的な臭いに感じられる異臭症が続きました。食事の匂いも不快で、花や香水も同様に異常な臭いとなり、生活の質が著しく低下。耳鼻科で嗅覚検査を受けたものの異常はなく、「自然回復を待つしかない」と言われました。仕事(接客業)での匂いへの過敏さから休職を余儀なくされ、精神的にも落ち込みが強まり、知人の紹介で20244月に当院を受診。鍼灸治療で嗅覚の回復を目指しました。

初診時

初診時、嗅覚は完全に異常で、コーヒーや果物の匂いが「洗剤っぽい」「化学的」と表現され、正常な感覚が一切ありませんでした。味覚にも影響が出て、食事が楽しめず、体重が減少。異臭症によるストレスで頭痛や倦怠感が続き、夜も眠りが浅い状態でした。仕事ができない焦りや「このまま治らないのでは」という不安から涙ぐむこともあり、休職中の生活に強い絶望感を抱いていました。身体的には首や肩のこりも強く、全身の不調が目立ちました。


鍼灸施術経過

2回の鍼灸治療を4か月間実施しました。

初回は鼻周囲のツボと全身調整を刺激し、血流改善と神経系のバランスを整えました。1か月後(9回目)、治療後の効果は一進一退で波が感じましたが、一部の匂い(果物)がわずかに自然に感じ始め、「少し変化がある」と希望が芽生えました。

2か月目には、当院の特殊鍼灸(奇穴法)を追加、異臭が半減し、食事の匂いが部分的に戻り、頭痛も軽減。

3か月後、嗅覚の8割が正常に近づき、洗剤臭がほとんど気にならなくなりました。

4か月後の20248月、嗅覚は8割回復し、日常生活での不自由が大幅に解消。仕事復帰の目途が立ち、「生きる喜びが戻った」と笑顔で報告されました。


考察

コロナ感染後の異臭症は嗅覚神経の障害によるものと考えられ、通常の治療では回復が難しい場合があります。本症例では、耳鼻科で改善が見られなかったものの、鍼灸治療で嗅覚が8割回復しました。鼻周囲への直接的な刺激と全身の調整が神経機能を活性化し、異臭症の改善に寄与した可能性があります。

4か月の継続治療が効果を発揮しました。精神的ストレスや休職による負担も軽減され、生活全体の質が向上。コロナ後遺症の嗅覚異常に対し、鍼灸が有効な選択肢となり得ることを示す事例です。早期治療と継続性が鍵と考えられます。