健康堂の症例NO.434:30代の女性 コロナ感染後の嗅覚喪失
現病歴
患者さんは2022年秋に新型コロナウイルスに感染し、コロナ回復後も嗅覚が約8割失われた状態が続きました。発症から2か月経過しても改善が見られず、耳鼻科で嗅覚訓練を試みたものの効果が乏しく、「自然回復を待つしかない」と言われました。
食事の味がわからない、花の香りが感じられないなど、日常生活の楽しみが奪われ、強い絶望感に苛まれていました。ネットで鍼灸治療の可能性を知り、藁にもすがる思いで当院を受診。嗅覚の回復を目指し、2022年11月から治療を開始しました。
初診
初診時、嗅覚はほぼ機能しておらず、強い匂い(アロマの精油)を近くで嗅いでもかすかに感じる程度でした。味覚も影響を受け、塩味や甘味の区別が曖昧で、食事が苦痛に。精神的にも落ち込みが激しく、「このままでは生きる楽しみがわからない」と涙ながらに訴えました。身体的には首や肩のこり、倦怠感もあり、コロナ後遺症による全身の不調が疑われました。絶望感が強く、治療への期待と不安が入り混じった状態でした。
鍼灸施術経過
当院では週2回の鍼灸治療を3か月間実施しました。初回は全身の気血循環を改善するツボ中心に施術し、嗅覚に関連する鼻周囲や頭部のツボを刺激。
1か月後(8回目)、微かに匂いを感じる瞬間が増え、「少し希望が見えた」と患者さん。
2か月目には嗅覚が4割程度回復し、味覚も戻り始め、食事の楽しさが蘇りました。首こりや倦怠感も軽減し、精神的安定が顕著に。
3か月後(20回目)、嗅覚はほぼ完治し、日常の匂いを問題なく感じられるまでに回復。2023年2月の最終診察では、「絶望から救われた」と笑顔で感謝を述べられました。
考察
コロナ感染後の嗅覚喪失は、自然回復が難しい場合も多く、本症例では耳鼻科治療で成果が得られなかったものの、鍼灸治療で劇的な改善が見られました。嗅覚神経の機能回復を促す血流改善や、全身の調整が効果を発揮したと考えられます。
3か月の継続治療で嗅覚が完治し、絶望感も解消されたことは、鍼灸の可能性を示す改善例です。コロナ後遺症で嗅覚障害に悩む方には、鍼灸治療を検討する価値があると言えるでしょう。