健康堂の症例NO.433:50代男性 難聴、耳鳴り、耳閉感 すこし出遅れで治療を開始しましたが…
現病歴
患者さんは2021年3月20日、急に耳が聞こえなくなりました。発症後すぐに総合病院を受診し、高圧酸素療法を開始しましたが、聴力低下に大きな改善は見られませんでした。耳鳴りと耳閉感も持続し、日常生活での不便を感じていました。会話が聞き取りづらく、テレビの音量を大きくしても理解しにくい状態が続き、不安が増大。治療開始がやや遅れたものの、病院治療と並行して回復を目指し、2021年4月15日に当院で鍼灸治療を開始しました。
初診時
初診時、左耳の聴力が全音域で低下し、特に中高音域(2000Hz~4000Hz)が聞き取れない状態でした。耳鳴りは「キーン」という高音が常時続き、耳閉感は「耳が詰まったよう」と表現されました。仕事や家族とのコミュニケーションに支障をきたし、「このままでは孤立してしまう」と強い焦りを感じていました。身体的には肩こりと疲労感もあり、ストレスが症状を悪化させている可能性が疑われました。
鍼灸施術経過
当院では週3回の鍼灸治療を提案し、病院治療と並行して実施。
患者さんが聴力低下以外に耳鳴りと耳閉感も抱えていたため、「聴力が少しでも回復すれば、耳鳴りが小さくなったり、耳閉感の膜がかった感じが薄れることが多い」と説明し、「まずは何か変化が出るか観察しましょう」と治療を始めました。
2021年4月15日初回は耳周囲のツボ耳三鍼と全身調整ツボを刺激。治療中、本人は身体が重だるくなったと言って、刺激量は控えめで治療しました。
2021年4月26日、総合病院から専門耳鼻科に転院した時点で、聴力検査のグラフに大きな変化はなく、効果は限定的でしたが、日常生活でわずかに聞こえの違いを感じ始めていました。
5月20日時点で、2000Hzと4000Hzの聴力に上昇が見られ、左耳でも会話が可能な感覚が得られるようになりました。
鍼灸治療を継続し、6月18日(合計22回後)、日常生活に問題ないレベルまで聴力が回復。耳閉感も大幅に軽減し、耳鳴りも気にならない程度に落ち着きました。患者さんは「聞こえる喜びが戻った」と非常に喜ばれました。
考察
この症例では、発症から約1か月の遅れと病院治療での停滞があったものの、鍼灸治療を併用することで聴力、耳鳴り、耳閉感が大きく改善しました。発症初期の高圧酸素療法では効果が乏しかった状況に、鍼灸が新たな変化をもたらし、特に週3回の集中治療が功を奏したと考えられます。
2000Hzと4000Hzの聴力上昇は会話理解に直結し、耳閉感の軽減が生活の質向上に寄与しました。突発性難聴は早期対応が重要とされますが、本ケースでは遅れを補う形で鍼灸が効果を発揮。病院治療と組み合わせることで、回復の可能性を高められる場合があることを示します。
鍼灸が全ての方に同様の結果を保証するものではありませんが、患者さんの継続的な努力と治療への希望が良い結果を導きました。突発性難聴に悩む方には、発症後できるだけ早く専門医を受診しつつ、鍼灸を検討する選択肢をお勧めします。

