②鍼灸と痛み NHKの「東洋医学を科学する 鍼灸・漢方の新たな世界」を観ました!
昨日の続き
②「痛みと鍼灸」についてお話てきたらと思います
鍼灸治療で痛みは取れるというのは一般的なイメージです。
なぜ痛みは取れる?今回の番組でさらに解明される研究は放送されました。
皆さんご存じのように痛みというのは脳の一種の感覚です
二年前の放送でも一部伝えられた内容ですが
痛みは緩和されるのは、脳の中では中脳水道周囲灰白質(PAG)という部位が活性化されていることが知られています。
このPAGという場所が活性化すると、本来感じるはずの痛みや熱刺激を感じなくなります。
鍼は機械的な刺激、お灸は温熱的な刺激。その刺激は脳の鎮痛部位であるPAGに神経伝達され、下垂体脳内ホルモンであるエンドルフィンエンケファリンといった神経伝達物質を分泌し痛みを抑制させるとも考えられます。
PAGは脳神経の一部であり腰の痛み抑制に関わっていると考えらて、慢性的な腰痛を抱えている人はPAGの活動や、他の脳神経との連携に変化が生じると考えられます。
そこで鍼灸による痛みの軽減には、PAGの働きや周辺の脳神経のネットワークの変化が伴い痛みの軽減へと導かれると考えられるのです。
中脳に位置するPAGの活動量は痛みには関連性があると考えられています。
脳や身体に刺激を加えることで痛みが軽減することがあるようです。
外部(頭や身体、手足など)からのツボ刺激は…
〇PAGを刺激することで痛みが軽減されます。
〇PAGの刺激には血圧を下げます。
〇PAGの刺激は副交感神経を優位に働かせます。
〇鎮痛作用のあるモルヒネ様物質エンドルフィン神経伝達物質を分泌するようです。
〇何かに集中している時、PAGの活動量が増加し痛みを感じにくくさせるようです。
以上の仕組み通り、身体、脳の連動で痛みが緩和されるのは科学的に証明されました。
では東洋医学自体は「痛み」についてどう見てるでしょうか?
東洋医学では痛みを考える際に、「通則不痛・痛則不通」という基本的な概念が重要視されます。
これは、身体に必要不可欠な要素である「気血」が円滑に運行される場合は痛みがなく、逆に気血の運行が妨げられると痛みが生じるという考え方です。気血は生命を維持するために体内を方向性を持って流れ、体に障害があるとその流れに干渉し、痛みとして現れるとされています。
例えば、寒邪が体内に侵入すると、その冷たい性質によって気血の運行が阻害され、痛みが引き起こされると考えられます。
他にも、寒邪を含む六淫(風・寒・暑・湿・燥・火)、七情(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)、食積、過労、瘀血、痰飲、外傷、虫積などが全身または局所にさまざまな痛みを引き起こすとされています。
これらの概念は、「形神統一論」や「整体観念」といった東洋医学の根本的な視点から来ており、「心身一如」という考え方も含まれています。
つまり二千年前の東洋医学の先人たちは体の内環境と身体の外の外環境は結びついてる、「脳」という具体的な概念がなくても、「脳」と身体は連動してる、体と精神は統一されるもの、むしろ同じものと認識されてました。
それに基づき、発展できたのはいまでも使われてる鍼・灸理論と治療でした。
近年、西洋医学でも心身の相関性が認められ、心身医学や心療内科といった分野が成立しています。
しかし、近代西洋医学が長く心身二元論に固執し、ヒポクラテスの時代のような心身統合体の視点を忘れてきた歴史があります。ヒポクラテスは患者さんを自然環境と結びついた心身統合体として見ており、これは東洋医学の考え方と類似しています。
腰痛、関節痛、神経痛、頭痛、何とかなくの不快感と鈍痛に悩まれる方、病院の治療以外に是非鍼灸院の治療も選択肢の一つとして検討したらいかがでしょうか?
健康堂 西荻窪院
久我山院
引用:
高村光幸「慢性疼痛に東洋医学的視点を」
NHK「東洋医学を科学する 鍼灸・漢方の新たな世界」