Medical content 診療内容
逆子と安産の鍼灸
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逆子と安産の施術
逆子とは、胎児の頭が下にない状態のこと。 妊娠中期まで、胎児はぐるぐると子宮内で体勢を変えていますが、身体が大きくなるにつれ頭が重くなるので、通常は分娩が近づくと頭が下にきます。 逆子は、正式な医学用語では「骨盤位」といわれ、胎位の異常に分類されます。
逆子の原因が明確なものは全体のうち一部分で、多くは原因が不明とされています。明らかになっている要因の一部としては、母体側、胎児側どちらかの異常があります。逆子は、胎児が自分で回転する動作を妨げられることにより生じます。胎児の自己回転を妨げる要因として、下記のようなものが考えられます。
・子宮筋腫、子宮奇形などの子宮の形態異常
・胎盤異常(前置胎盤や低置胎盤)
・骨盤の幅が狭い
・羊水過多 -
鍼灸治療の有効性
現代医学の研究では至陰などのツボにお灸を施すことで、子宮の緊張緩和、胎動増加、子宮周囲の体表面温度の上昇が認められ、胎児の自己回転する環境が作られたことにより、逆子を矯正することができると報告されています。
鍼灸施術(矯正)の開始が遅れるほど回復する確率が低くなってしまいますので、逆子と診断されれば直ぐに温灸療法を試されることをお薦めします。一週の躊躇が回復を左右してしまうことがあります。逆子体操と温灸療法を併用すると一層効果が期待できます。
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施術のタイミングと頻度
逆子という事が判明した後に鍼灸治療をお受け頂くのですが、タイミングとしては妊娠28週以降~32週位までの時期が最適で、34週~確率が一気に下がります。それ以降でも戻る可能性(期待)はありますが、時間の経過と共に赤ちゃんが大きくなると動くスペースが狭くなりますので動きづらくなってしまい治りにくくなるため最大で38週目までが鍼灸治療の対象となり、38週過ぎると鍼灸で戻る可能性は極めて低くなります。
ですから28週目以後で逆子と分かった時点でなるべく早く受信する事をオススメ致します。
逆子のお灸をするタイミング(時期)は28週目の時点で逆子だと分かっている場合はなるべく早い方が良い事はご説明致しましたが、どのくらいの頻度・間隔でお受け頂くかといいますと、当院では最低1週間に2-3度の頻度でお願いしておりますが、週数が36週に近づいている場合は間隔を狭めて1週間に3-4度程お受け頂く事をオススメしております。
逆子体操で頑張っても回復しなくて諦めてしまい、外回転術や帝王切開を決断する前にぜひ一度、健康堂で東洋医学的に基づく逆子鍼灸治療にチャレンジしてみませんか? -
逆子の予防法
適度な運動と身体を冷やさないように心がけましょう
逆子の多くは原因が不明なので、予防法はありません。ただ、妊娠中に運動をしていない妊婦さんに多いと感じるそうです。軽いウォーキングでも良いので、無理のない運動をしましょう。また、マタニティヨガでは逆子体操の動きを取り入れたポーズもあるので、日ごろから行うのも良いですね。
妊娠中は、下半身を冷やさないようにすることも大切です。冷えると抹消の血管が収縮し、赤ちゃんの頭が上になりやすくなるといわれています。おなかを冷やさないように腹巻などを着用し、暖かくするように心がけましょう。参考データ
逆子の鍼灸治療の報告は,1950年代に,産婦人科医の石野信安が,20例中16例(80%)が頭位となったことを報告しました2)。また,1980年代には,産婦人科医の林田和郎が,584例の逆子に鍼灸治療を行い,89.8%の高い有効率を報告しました3)。
この2論文を含め,1950年以降,わが国の主な症例集積論文は16件あり,12件が72.2%以上の回転率です。治療時の週数が32~35週で検討した10論文中8論文が61.4%以上の回転率でした4)。
1) 賀川玄悦:子玄子産論. 1765.
2) 石野信安:日東医誌. 1952;1(3):7.
3) 林田和郎:東邦医会誌. 1987;34(2):196-206.